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パロディとかTwitterネタを収納する部屋
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トントンと軽快なリズムで音が聞こえる。
忙しそうに動く後ろ姿はとても楽しそうだ。
そのうちに食欲をそそる匂いが漂ってくるのを知っている。
台所に立つ彼女がいつもより大きく感じられて、なぜか無性に頼りたくなって。
「煉牙?」
腰に緩く腕をまわすと、訝しむ柔らかな声。
髪から甘いにおいがする。
シャンプーは同じはずなのに。
「煉牙、ご飯作っとるときは危ないで」
笑みを含んだ声。
窘めるような調子だ。
「…今日の飯、なに?」
言い訳のように誤魔化すように言葉を紡ぐ。
後ろめたいことはないけれど、なんとなくだ。
「さてなんでしょう」
くすくすと笑い声。
無造作に置かれた、変わった形のフライパンはわかりやすすぎるヒント。
「パニーニか」
「せやでー」
上機嫌な彼女の明るさはいつだって救いだ。
腕に力を入れ直して抱きしめると、甘えん坊さん、からかう調子で言われた。
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ガッ、と鈍い音とともに羅国の体が壁に叩きつけられる。
「おいおい――」
心底呆れたような、少年の声。
「ちょっと加速つけて殴っただけだよ?踏ん張りなって」
「…っ、」
胸を殴打されて、背中を強打して、呼吸もままならない。
「立ちなよ青龍。ボクはまだ立ってるよ?」
大きく息を吐いた羅国に彼が言う。羅国にとっては馴染みのある声だけれど、雰囲気はいつもと違って。
「やれやれだ。ヤシューシカとてんで比べものにならないね」
「……師匠」
「あの子は強かったけどね。キミは全然だめだ」
無造作に放たれた言葉がずっしりと重い。
「本当にやれやれだよ…引退した先々代にすら負けるくらいならさぁ」



「青龍なんか辞めちゃいなよ」
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ちき、と金属音。重厚な拳銃は、弾丸を撃つだけのものではない。
「―――」
彼の、その花のような唇から自分の名前が零れる。避ける動作はできない。うしろには、かのじょが、「…成程」
彼はひどく冷めた視線で自分を見ている。こちらからは逆光になっていて、それが余計に彼の表情を冷たいものに見せている。
「ぁ…アクラシエル、これは」「申し訳ないが」
銃口は揺るぎない。「仕事だ」


「ラグエルの名の許に。貴殿の行為は堕天に値すると判断する」


その言葉を発した彼はひどく冷めた表情をしているのに、ひどく悲しげに見えた。これが――これが、彼の仕事なのだ。

「あのう」

「このひとは…なにも、していません」後ろから柔らかな声がする。彼女の声だ。ああ、だめだ、「時々お話をしたくらいです。あなたは――」「人間よ。行動は問題ではないのだ」
彼女は悪くないのだ。罪に値するのは自分だ。「でも」
「天使は、地上に対して平等であらねばならない。我々には我々の規律がある。彼は、君を想った。君を特別視した。それが罪になる」
彼のまっすぐな視線は自分を貫いている。
「君は彼のことを忘れたほうがいい」
囁くような声は、それでも震えはしない。
ひたひたと。素足のままで歩くおとがする。
ここは暗い、昏い…えいえんのたそがれ。

「あなたが」

彼が此処にいるはずはないから、きっとこれは夢だ。
倖せな悪夢だ。

「考えていることを…中てあげましょうか」

すうと透明なほどに真っ直ぐな眼差しに貫かれる。



「へぇ…言ってご覧よ、」

薄らと微笑んで彼女が言葉を紡ぐ。
一瞬視線を向けてからは此方を見ようともせずに、かたく目蓋を伏せたままで。
その余裕に充ちたふうに見せかけた姿が堪らなく苛つく。
私はこれ以上なく現実であるのに、夢だと思っている節があるのに。



すぐそばに、彼を感じる。
ああ、本当に、ほんとうにこれは悪夢だ。

「夢だと思っているんでしょう」

体温の高い、指先が頬に触れる。
ああ、これは、これはかれのゆびだ、かれのゆびさきだ、
間違えるはずがないんだ声変わりをして声が低く掠れても銃を握った堅い指先も!



ひゅ、と細く息を吸いこむ音。
うすあおの視線がしっかりと此方を見て、それでも口許の緩い微笑みは変わらない。
苛つく。そんな。そんなふうに。
そんな、形だけの笑みはいらない。
私は、そんなふうに笑いかけて欲しいんじゃない。

「アクラシエル…?」

今の私は、きっと醜い。



こんなにも苦り切った表情の彼は始めて目にするかもしれない。
いや、苦り切ったというよりはむしろ、心底怒ってそれを噛み潰しているような、

「…いやだな」

爪が頬を滑る。
耳のすぐ下をかすめて、後頭部に届いた掌に髪を玩ばれる。

「私はそんな冷めた笑顔はいらない」



そんな笑顔には意味なんてない。
私が欲しいのはあなたで、くだらない名前も肩書きもあなた以外も総ていらない。
だから諦めて全て捨てて。

「君…大人っぽく、なったね」

戸惑ったような声。そっちのほうが余程まし。
素のままじゃないあなたなんて、壊してあげるから。



彼は、以前こんなふうにこっちを見ただろうか。
あの頃はきらきらと眩しいくらいの光で、こんな、

「…こっちを」

こんな、欲を孕んだ彼の視線は、知らない。

「こっちを見て。話したいことがあるなら」

くん、と髪に滑り込んだ指で外らした目がまた、彼を見ることになる。



あなたはどう思っているのだろうか、なんて益体もないことは考えない。
どうでもいい、そんなことよりなによりあなたがほしい。
女性の髪を乱暴に扱うな、と自分の小さな良心が叫ぶけれど無視をする。

「君…此処にいたら、だめだよ」

澄んだ声はいつだって耳に美しい。



彼の指が、するすると髪を滑って行く。
彼の顔が、吐息も届きそうなくらいすぐそこにある。
彼の髪が、さらさらと真っ直ぐな髪が、カーテンのように視界を遮って、彼しか、見えない。
ああ…だめだ。
こんなにそばにいたら、きっとボクは、削れてなくなってしまう。



戦慄く唇が、見開いて私を見る瞳が、白さを増した肌が彼女を彩る。
いとおしいひと。私の欲しいものすべて。
あなたを手に入れられるならそれを邪魔するものをすべて壊すから。
それが犠牲を含んでも、あなたが手に入るならどうだっていい。



「あなたの髪の1本いっぽんから爪の先まで、私のものだ」

内容と裏腹な、ひどく醒めた声音で彼が言う。

「私以外に感情を動かすことは許さない」

そうして声音を裏切るように、体を滑り降りて行く指先は熱を持って。

「あなたのすべてが、私のもの」

からん、と靴が鳴った。



緩慢に彼女から離れて体を起こす。
持ち上げた膝はそのままで、そっとそこにキスを落とした。

「ちょっ…と、」

ぴくんと白い脛がはねて僅かに抵抗して、それを押さえつけてそのまま唇を滑らせて。
小さな爪先に口付ける。



ちゅ、と足元で小さく音がする。

「その代わりに」

俯いた彼の表情は伺えない。

「私の総てをあなたにあげます」

声色は、穏やかだ。

「私の身体のすべてと心のすべてを、羽根の1本に至るまですべてあなたにあげます」

でも、どうして、



「…怖いの?」

するりと脚が私の手からはなれていく。
代わりに、彼女の顔がそっと近付いてくる。

「震えてるよ」

するりとしなやかな指が私を撫ぜる。
引き寄せて身体を抱けば、百合のかおりがする。
言葉はいらない。あなたがいればいい。



「…会わないほうが、よかった?」

迷子の子供みたいな声。

「私の感情もなにもかもを全部あなたに渡すから、きちんと管理して」

首筋にそっと頭を預けると、仄かに土の匂いがする。



「君が、ボクの気持ちを管理してくれるなら」

そっと、甘やかな声が告げた。
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