パロディとかTwitterネタを収納する部屋
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「ごめんなさい、おばあちゃんもうあんまり調子が良くなくって」
「いいんだ。…お茶をありがとう、ええと」
「ルシエラです」
「…ルシエラ」
彼女の孫娘――ルシエラが淹れた紅茶に口をつけた。
しかしルシエラ……ルシエラか。
「ボクの名前と似ているね。…ルシと呼ばれているんだ」
「ルシ、さん?んん、さま、かしら。ルシさま」
「…どうして様だと思ったの?」
「だってそこら辺で働いてるふうには見えないんですもの。使われるより使う方が似合ってるわ」
その言葉に、また懐かしさが込み上がってくる。
この子の感性はとても彼女に似ていて、微笑ましいような胸が締め付けられるような複雑な気持ちにさせられた。
「あのぅ。不躾だとは思うんですけど。…おばあちゃんとはどうやって知り合ったんですか?」
「…彼女の帽子を拾ったんだ」
「帽子を…」
最近外に出たかしら、小さな呟きに少し笑ってしまった。
ずっと昔、彼女がまだ君くらいの年のころなんだけれど。
「昔の話だよ」
「おばあちゃんがまだ歩けた頃の?じゃあルシさまは親切な男の子だったんですね」
そう言って笑う少女に曖昧に微笑んで、カップに口をつけて誤魔化す。
手慣れた動きで淹れられたそれは美味しかった。
「紅茶を淹れるのがうまいんだね」
「お母さんもおばあちゃんも、好きだけど淹れるのは苦手だから。いろいろ調べたんですよー」
「…お父さんやお祖父さんは?」
「あ、いないんです」
明るい顔のままさらりと言われて、一瞬流しそうになってから思わず相手をまじまじと見てしまった。
いない?
「えっと…お母さんは、お父さんがあんまりダメ男だったから離婚して、おばあちゃんの家に転がり込んだんですって。おばあちゃんは、そもそも結婚しないでお母さんを産んだって聞きました」
おばあちゃんは誰の子か絶対に言わなかったけれど、お母さんがすごく綺麗に育ったから貴族とかじゃないかって噂だったみたいです。
その一連の台詞に、時間が止まったかと思った。
父親のわからない子ども。
それは――いつの話だ?
「……未婚の、母」
「…………はっ!す、すみませんこんな、家のことなのに…」
「いや、僕が聞いたことだし。……そうか、結婚してなかったんだね…」
「……?はい」
彼女が訝しげな表情で頷く。
「いいんだ。…お茶をありがとう、ええと」
「ルシエラです」
「…ルシエラ」
彼女の孫娘――ルシエラが淹れた紅茶に口をつけた。
しかしルシエラ……ルシエラか。
「ボクの名前と似ているね。…ルシと呼ばれているんだ」
「ルシ、さん?んん、さま、かしら。ルシさま」
「…どうして様だと思ったの?」
「だってそこら辺で働いてるふうには見えないんですもの。使われるより使う方が似合ってるわ」
その言葉に、また懐かしさが込み上がってくる。
この子の感性はとても彼女に似ていて、微笑ましいような胸が締め付けられるような複雑な気持ちにさせられた。
「あのぅ。不躾だとは思うんですけど。…おばあちゃんとはどうやって知り合ったんですか?」
「…彼女の帽子を拾ったんだ」
「帽子を…」
最近外に出たかしら、小さな呟きに少し笑ってしまった。
ずっと昔、彼女がまだ君くらいの年のころなんだけれど。
「昔の話だよ」
「おばあちゃんがまだ歩けた頃の?じゃあルシさまは親切な男の子だったんですね」
そう言って笑う少女に曖昧に微笑んで、カップに口をつけて誤魔化す。
手慣れた動きで淹れられたそれは美味しかった。
「紅茶を淹れるのがうまいんだね」
「お母さんもおばあちゃんも、好きだけど淹れるのは苦手だから。いろいろ調べたんですよー」
「…お父さんやお祖父さんは?」
「あ、いないんです」
明るい顔のままさらりと言われて、一瞬流しそうになってから思わず相手をまじまじと見てしまった。
いない?
「えっと…お母さんは、お父さんがあんまりダメ男だったから離婚して、おばあちゃんの家に転がり込んだんですって。おばあちゃんは、そもそも結婚しないでお母さんを産んだって聞きました」
おばあちゃんは誰の子か絶対に言わなかったけれど、お母さんがすごく綺麗に育ったから貴族とかじゃないかって噂だったみたいです。
その一連の台詞に、時間が止まったかと思った。
父親のわからない子ども。
それは――いつの話だ?
「……未婚の、母」
「…………はっ!す、すみませんこんな、家のことなのに…」
「いや、僕が聞いたことだし。……そうか、結婚してなかったんだね…」
「……?はい」
彼女が訝しげな表情で頷く。
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春の陽光を燦々と取り込むフランス窓。
わずかに開けられているのか、白い薄手のカーテンが時折ふわりと揺れる。
白地にミントグリーンで模様が描かれた壁紙。
窓に対面するように置かれた肘掛け椅子。
木製のよく磨かれた家具に添えられた色合いはどれも、白と明るいグリーン、深いブルー。
ベッドで起こした半身にショールを羽織って、彼女が驚いた顔でこちらを見ていた。
肌に刻まれた皺や痩せた身体、細い髪は金よりも白に近くなっていて、彼女が過ごした時の長さを物語っている。
それでも昔と変わらない、きらきらとしたエメラルドの瞳。
ふと表情を和ませて、彼女は孫娘に話しかけた。
「…ルー、お茶を淹れてくれるかしら。彼とお話がしたいの」
「えっ…あ、う、うん。わかった…」
一瞬見比べるように視線をさ迷わせて、するりと少女が部屋を出ていく。
彼女は柔らかく微笑んでこちらを見ている。
自分はと言えば、喉がかっと熱くなって、なにも言えないでいた。
「……お久しぶり、ですねぇ」
微笑んだままの彼女が穏やかにそう言って、それがあまりにも変わりなくてどうしていいかわからなくて――思うさま駆け寄って抱き締めていた。
「シエル……シエル、僕は」
「はい」
「――っ、ごめん、ほんとにごめんね……」
「どうして謝るんですか」
「だって僕は君を」
捨てたと思われても、仕方のないことをした。
そんな言葉が喉で詰まって凝る。
声にならないままぎゅっと腕に力を込めると、彼女の手のひらが優しいリズムで背中をたたいた。
「私、すっかりおばあちゃんになってしまいました」
ささやくような言葉にぐっと胸が熱くなる。
「…君は変わらないよ…いつも綺麗だ」
「まぁ…そう言ってもらえるなんて、嬉しいですよ」
昔と同じ、控えめな力の入れ方で抱きしめられて、泣きそうになったけれど。
「――私の天使さま」
愛の言葉に似た響きの呼び声には、堪えきれなかった。
わずかに開けられているのか、白い薄手のカーテンが時折ふわりと揺れる。
白地にミントグリーンで模様が描かれた壁紙。
窓に対面するように置かれた肘掛け椅子。
木製のよく磨かれた家具に添えられた色合いはどれも、白と明るいグリーン、深いブルー。
ベッドで起こした半身にショールを羽織って、彼女が驚いた顔でこちらを見ていた。
肌に刻まれた皺や痩せた身体、細い髪は金よりも白に近くなっていて、彼女が過ごした時の長さを物語っている。
それでも昔と変わらない、きらきらとしたエメラルドの瞳。
ふと表情を和ませて、彼女は孫娘に話しかけた。
「…ルー、お茶を淹れてくれるかしら。彼とお話がしたいの」
「えっ…あ、う、うん。わかった…」
一瞬見比べるように視線をさ迷わせて、するりと少女が部屋を出ていく。
彼女は柔らかく微笑んでこちらを見ている。
自分はと言えば、喉がかっと熱くなって、なにも言えないでいた。
「……お久しぶり、ですねぇ」
微笑んだままの彼女が穏やかにそう言って、それがあまりにも変わりなくてどうしていいかわからなくて――思うさま駆け寄って抱き締めていた。
「シエル……シエル、僕は」
「はい」
「――っ、ごめん、ほんとにごめんね……」
「どうして謝るんですか」
「だって僕は君を」
捨てたと思われても、仕方のないことをした。
そんな言葉が喉で詰まって凝る。
声にならないままぎゅっと腕に力を込めると、彼女の手のひらが優しいリズムで背中をたたいた。
「私、すっかりおばあちゃんになってしまいました」
ささやくような言葉にぐっと胸が熱くなる。
「…君は変わらないよ…いつも綺麗だ」
「まぁ…そう言ってもらえるなんて、嬉しいですよ」
昔と同じ、控えめな力の入れ方で抱きしめられて、泣きそうになったけれど。
「――私の天使さま」
愛の言葉に似た響きの呼び声には、堪えきれなかった。
ちらちらと好奇心に満ちた視線を向けながら、彼女――いや、少女が先導する。
シエルの名前に対して『おばあちゃん』と言っていたから、彼女の孫娘らしい。
祖母にあたる人物の見舞いに見た目の若い自分が訪れるのは珍しいだろうし、少女の年齢を推し測るに好奇心旺盛なのは頷ける。
と。
ドライフラワーの飾られた扉の前で立ち止まった少女が3つノックをして、するりと中に入っていく。
自分はと言えば、根が生えたように動かない足を踏み入れることができずに扉の外だ。
「おばあちゃん、お客さま。とっても綺麗な男の人!ねぇ、どこで知り合ったの?」
華やかな少女の声、それから。
「男の方?まぁ…どなたでしょう」
記憶よりも掠れた、それでも少女のような愛らしさを失わない穏やかな声。
『まぁ…あのぅ、どなたでしょう』
同じ台詞だ。
初めて出会ったときとほとんど同じ。
涙が出そうに懐かしい、美しい思い出。
ぐっ、と拳を握って一歩扉の内側へ足を進めた。
シエルの名前に対して『おばあちゃん』と言っていたから、彼女の孫娘らしい。
祖母にあたる人物の見舞いに見た目の若い自分が訪れるのは珍しいだろうし、少女の年齢を推し測るに好奇心旺盛なのは頷ける。
と。
ドライフラワーの飾られた扉の前で立ち止まった少女が3つノックをして、するりと中に入っていく。
自分はと言えば、根が生えたように動かない足を踏み入れることができずに扉の外だ。
「おばあちゃん、お客さま。とっても綺麗な男の人!ねぇ、どこで知り合ったの?」
華やかな少女の声、それから。
「男の方?まぁ…どなたでしょう」
記憶よりも掠れた、それでも少女のような愛らしさを失わない穏やかな声。
『まぁ…あのぅ、どなたでしょう』
同じ台詞だ。
初めて出会ったときとほとんど同じ。
涙が出そうに懐かしい、美しい思い出。
ぐっ、と拳を握って一歩扉の内側へ足を進めた。
ずっと昔に、彼女から離れた。
自分は天使で彼女は人間で、一緒にはいられないとわかっていたのに離れがたくて伸ばし伸ばしにしていたけれど、酷いことだと思いながら幸せのうちに彼女から離れた。
きっと彼女は自分を恨んだろう。
裏切られたと思ったろう。
ノッカーを握ったままそれを鳴らせない。
彼女は人間らしく年を重ねているのに、自分は昔と同じまま。
怖がるだろうか。
今更なにをと、罵られるだろうか。
家族がいるんだろうか――彼女に、自分以外の男との間の子どもが?
想像しただけで言い様のない気持ちが沸き起こる。
だめだやっぱり止めよう、とノッカーから手を放した、その時を待っていたかのように。
がちゃりとドアが開いた。
「わっ…お、お客さまですか?」
明るいメゾソプラノ。
柔らかそうだけれど真っ直ぐな金の髪。
驚いたように指先を唇にあてる、その仕草。
ほとんど記憶そのままの彼女がそこに立っていた。
「……っシエ、ル…………」
あまりのことに言葉が浮かばず、不躾に彼女を見詰めてしまう。
見詰めて気付く。
瞳の色が違う。
彼女は春の若葉や宝石のような明るいグリーンの瞳だったけれど、この少女はブルーだ。
「ええと、あのぅ…おばあちゃんの、お見舞いの方…ですか?」
自分は天使で彼女は人間で、一緒にはいられないとわかっていたのに離れがたくて伸ばし伸ばしにしていたけれど、酷いことだと思いながら幸せのうちに彼女から離れた。
きっと彼女は自分を恨んだろう。
裏切られたと思ったろう。
ノッカーを握ったままそれを鳴らせない。
彼女は人間らしく年を重ねているのに、自分は昔と同じまま。
怖がるだろうか。
今更なにをと、罵られるだろうか。
家族がいるんだろうか――彼女に、自分以外の男との間の子どもが?
想像しただけで言い様のない気持ちが沸き起こる。
だめだやっぱり止めよう、とノッカーから手を放した、その時を待っていたかのように。
がちゃりとドアが開いた。
「わっ…お、お客さまですか?」
明るいメゾソプラノ。
柔らかそうだけれど真っ直ぐな金の髪。
驚いたように指先を唇にあてる、その仕草。
ほとんど記憶そのままの彼女がそこに立っていた。
「……っシエ、ル…………」
あまりのことに言葉が浮かばず、不躾に彼女を見詰めてしまう。
見詰めて気付く。
瞳の色が違う。
彼女は春の若葉や宝石のような明るいグリーンの瞳だったけれど、この少女はブルーだ。
「ええと、あのぅ…おばあちゃんの、お見舞いの方…ですか?」
酢酸リクふぇりへるこでひたすら濡場。
別名、一種の苦行…
別名、一種の苦行…