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パロディとかTwitterネタを収納する部屋
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「お――」

おかあさん。

戦慄いた唇から言葉がこぼれた。
ふうわりと波打つ長い黒髪、上品な着物姿、穏やかな微笑み。
紅葉の記憶にある母そのものの姿を食い入るように見詰める。
よろりと足が前へ出る。
ふらりと腕が伸ばされる。
戸惑った視線を紅葉に向けた晶が、はっと息をのむ。
正面にいる黒髪の女性、紅葉の母親、それと寸分違わぬ姿で――いや、その表情は微笑みではなく泣きそうな顔で、必死に首を振って愛娘を止めようと手を伸ばすひと。
肩に触れてもそれをすり抜け、腕をつかんでも空を掻き、それでも首を振る。
泣きそうに歪んだ顔で晶を見た彼女の口がぱくぱくと動く。
声が聞こえなくて、なにを言っているのかわからない。
けれどその仕草から、その表情から、危険なのはわかる。

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晶くんと奇怪と紅葉とお母さん。
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【おなか】
「えい」「あら」「まぁ」「んー?どないしたん三つ子ちゃ…ホォアウ!?」「これは」「やばいわ」「これはやばいわ」「ちょ、や、やめたってェ腹摘ままんといてェ!」「ビールかしら」「ビールね」「ちゃうて!粉モンやて!呑まれへんもん!」「飲めないの?」「お酒を飲めないのはどうかしら」「オトナとしてどうかしら」「付き合いではちゃんと飲みますぅ!やから腹を!つつかんでって!」「涙目だわ」「涙目ね」「むにむに」「ちょ、アーーーーーッ!!」

【まいご】
「「ビリー!!」」「うおびっくりした。どないしたん三つ子ちゃ…あれ?黄色い子おらんやん」「いなくなってしまったの!」「迷子なのよ!」「ひとりになったら、わたしきっと泣いているわ!」「泣き虫なわたしなの!」「…えーと?」

【よびな】
「ねぇビリー」「どうせやったら拳ちゃん♡って呼んでやお嬢ちゃん」「ビリー暑くないの?」「あっ無視やこれ」「ビリー、甘いものが欲しいわ」

大きく開いた鋏の、両の刃と鈍く光るやいばが擦れて耳障りな悲鳴をあげる。
ぐんと前へ踏み出せば手元で小さく火花が散った。
ふっと重量が消えて鑪を踏みかける。
狂気走ったぞっとするような笑みが見える。
振り上げられた腕が狙ったのは娘ではなかった。
咄嗟に隣の少女を庇って身を翻した、女性の肩が血に染まる。
肉を断ち突き刺さった刀はそのまま霞むように消えて、血止めのなくなった傷口からどくどくと緋色が溢れていく。
取り乱して止血に走る娘の後ろで、それは嬉しそうに唇を歪めた。

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娘:りりかちゃん
少女:ひな子ちゃん
女性:紅葉
で、りりかちゃん対牡丹ちゃん、みたいな。
ちらちらと好奇心に満ちた視線を向けながら、彼女――いや、少女が先導する。
シエルの名前に対して『おばあちゃん』と言っていたから、彼女の孫娘らしい。
祖母にあたる人物の見舞いに見た目の若い自分が訪れるのは珍しいだろうし、少女の年齢を推し測るに好奇心旺盛なのは頷ける。
と。
ドライフラワーの飾られた扉の前で立ち止まった少女が3つノックをして、するりと中に入っていく。
自分はと言えば、根が生えたように動かない足を踏み入れることができずに扉の外だ。
「おばあちゃん、お客さま。とっても綺麗な男の人!ねぇ、どこで知り合ったの?」
華やかな少女の声、それから。
「男の方?まぁ…どなたでしょう」
記憶よりも掠れた、それでも少女のような愛らしさを失わない穏やかな声。


『まぁ…あのぅ、どなたでしょう』


同じ台詞だ。
初めて出会ったときとほとんど同じ。
涙が出そうに懐かしい、美しい思い出。
ぐっ、と拳を握って一歩扉の内側へ足を進めた。

ずっと昔に、彼女から離れた。
自分は天使で彼女は人間で、一緒にはいられないとわかっていたのに離れがたくて伸ばし伸ばしにしていたけれど、酷いことだと思いながら幸せのうちに彼女から離れた。
きっと彼女は自分を恨んだろう。
裏切られたと思ったろう。
ノッカーを握ったままそれを鳴らせない。
彼女は人間らしく年を重ねているのに、自分は昔と同じまま。
怖がるだろうか。
今更なにをと、罵られるだろうか。
家族がいるんだろうか――彼女に、自分以外の男との間の子どもが?
想像しただけで言い様のない気持ちが沸き起こる。
だめだやっぱり止めよう、とノッカーから手を放した、その時を待っていたかのように。
がちゃりとドアが開いた。
「わっ…お、お客さまですか?」
明るいメゾソプラノ。
柔らかそうだけれど真っ直ぐな金の髪。
驚いたように指先を唇にあてる、その仕草。
ほとんど記憶そのままの彼女がそこに立っていた。
「……っシエ、ル…………」
あまりのことに言葉が浮かばず、不躾に彼女を見詰めてしまう。
見詰めて気付く。
瞳の色が違う。
彼女は春の若葉や宝石のような明るいグリーンの瞳だったけれど、この少女はブルーだ。
「ええと、あのぅ…おばあちゃんの、お見舞いの方…ですか?」

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